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第7回「睡眠時無呼吸症候群の治療」

ひどいいびき、昼間の強い眠気、肥満、高血圧があり、病院で診察を受けたところ、「睡眠時無呼吸症候群にまず間違いはないが、検査をして確認する必要がある。恐らく治療をせねばならないだろう」と言われました。どんな治療をされるのでしょうか。
(61歳、男性)

回答

重症度によって治療方針はかなり異なります。睡眠ポリグラフィフィー検査で1時間当たりの睡眠中の無呼吸や低呼吸の頻度を計算しますが、それを無呼吸指数といい、重症度のおおよその指標に用います。
無呼吸指数が5-20未満を軽症、20-30未満を中等症、30以上を重症と分類します。
もちろん重症度の判定には昼間の眠気や合併症の有無なども考慮せねばなりません。

  1. 一般的な生活療法

     あらゆる重症度の人に共通して必要なことです。閉塞型の無呼吸症では肥満を伴っていることが多く、ノドの周囲に脂肪が付きすぎて、空気の通り道を塞いでしまい、それが無呼吸の原因になっていることがありますので、食事療法、運動療法などを行い、体重減少に努めるべきです。
    また、アルコールや睡眠薬は筋弛緩作用があり、無呼吸を悪化させます。

  2. CPAP(持続陽圧呼吸療法)

     CPAP(シーパップ)は現在のところ最も有効で、中等~重症には第一に選択される治療法です。
    これは鼻にマスクを当てて、機械で空気を送り込み、狭くなったノドを広げることで効果を発揮します。
    副作用は特にありませんが、鼻の病気のある方では違和感が強いことがあります。
    無呼吸指数が20以上の場合に保険が適応され、現在では最もよく行われている治療法です。

  3. マウスピース(歯科器具装置)

     軽~中等症や、CPAPの使用に問題がある人に有効な治療法です。
    下顎を数ミリ前方に引き出すようにマウスピースで固定するもので、睡眠中にのみ装着します。
    下顎を前方に出すとノドの筋肉の緊張が高まり、空気の通り道が広がることで効果が出ます。
    下顎が小さい者や横向きに寝ると無呼吸やいびきが軽くなる者に効果が高いようです。
    欠点としては、下顎を強制的に前方に引き出すために顎関節の違和感や痛みを生じることがあります。

  4. 外科的手術

     小児の場合はアデノイドや扁桃肥大が原因のことが多く、手術が行われます。
    成人では気道を広げる目的で口蓋垂、口蓋扁桃、軟口蓋の一部を広汎に切除する外科手術が行われることがありますが、現在では特別な場合を除いては第一選択の治療とはなっていません。