友だち追加

第5回「いびきは病気なのか」

飲酒の習慣はなく、付き合い程度で多少たしなむ程度です。普段からいびきをかくほうですが、飲んで帰宅した夜にはいびきがひどく、しかも普段と違った呼吸をするので、騒音と心配で眠れないと妻から小言を言われます。
最近、いびきがひどかった同僚が睡眠時無呼吸症と診断されたと聞いて気がかりになりました。
(45歳、男性会社員)

回答

いびきとは、睡眠中に上気道(ノド、咽頭)が狭くなり、呼吸に伴って空気が通るときにノドが振動して発する雑音のことです。

 ノドはもともと狭く、取り巻く周囲の組織が軟らかいために、息を吸った時に余計に吸い寄せられて狭くなります。
さらに睡眠中はノドを支えている筋肉の緊張が緩んで気道は一段と狭くなり、空気が通るときの抵抗で周囲の組織が振動し、その音がいびきとなって生じるのです。
配偶者や恋人だけでなく、寮やホテルでいびきをかく人と同室となって、いびき音で迷惑を被った経験のある人は多いはずです。

 いびきには、毎晩ではなく飲酒した後や疲れた後のみにいびきをかく場合と、習慣的にいびきをかく場合に分けられます。
アルコールは筋肉を弛緩する作用が強く、飲酒するとノドを支える筋肉の緊張も緩むためにいびきをかきやすくなるのです。
飲酒後のみしかいびきをかかない人は必ずしも病的とはいえませんが、習慣的にいびきをかく人の中には背後にひどい病気が隠れていることがあります。したがって全てのいびきが病気というわけではありませんが、毎晩必ずひどいいびきをかく場合には要注意です。
成人男性の約20%、女性の約5%に習慣性のいびきが認められるという報告があります。特に太った人はノドの周囲の組織に脂肪が沈着しやすく、気道が狭くなっていびきをかきやすくなります。
他に、扁桃腺やアデノイドの肥大がある人、鼻の病気のある人、顎が小さいか引っ込んでいる人にいびきは起こりやすいので、耳鼻咽喉科を受診して診察を受けることをお勧めします。

 習慣性のひどいいびきをかく人の10-20%の人は、息を吸う時に舌がノドに沈下したり、ノドの周囲の組織がくっついて気道を塞いでしまい、息が吸えなくなり数十秒間窒息状態になってしまうことがあります。
睡眠中に窒息状態になっても本人は気づいていないのですが、それが度々起るようになると、その影響で様々な症状が現れるようになります。それが質問にある睡眠時無呼吸症候群という病気なのです。たかがいびきとは侮れません。