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第12回「夜に現れるムズムズ感」

2-3年前から夜になると、ふくらはぎあたりがムズムズして、じっとしておれなくなります。動くと少し楽になりますが、床に着くとムズムズ感がひどくなり、夜間の睡眠が十分とれず、そのせいか昼間に眠気があります。
(72歳、男性)

回答

これは「レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)」と呼ばれる病気です。
決して珍しくはありませんが、医師の間でもまだあまりよく知られていないのが実情のようです。

 典型的な例では、就床前から足にむずむずした異常な感覚が出現し始めます。
じっとしているとひどくなり、動くと楽にるためにベッドから離れて動き回ります。動きを止めるとまた始まります。
虫が這うような感覚を伴うことも多く、灼熱感のために足を冷やす人もいます。
むずむずなどの異常感覚は就床時や就床後にひどくなるために、入眠が妨げられ、入眠したとしても途中覚醒した時にも症状があるために再入眠が障害されることになります。
朝方には症状は軽くなるか消失します。軽症例では、昼間は無症状ですが、重症例では昼間から症状が出現します。

 原因は神経伝達物質のドーパミンと関係しているとされています。それと関係して、鉄欠乏性貧血や透析中の人にみられることが少なくありません。
精神病の治療薬の副作用でよく似た症状が生じることがあります。

 ところで、むずむず脚症候群の70〜80%に「睡眠時ミオクローヌス(周期性四肢運動障害)」という不随意運動が睡眠中に認められます。
これは睡眠中に足の拇指関節が伸展し、足関節と膝関節が屈曲する動き(1-5秒間持続)が約30秒の間隔で反復して起る異常運動です。
これは浅いノンレム睡眠で出現します。本人は気づいていないことが普通ですが、睡眠ポリグラフィー検査を行うと高齢者ではしばしば発見されます。
不随意運動の頻度が多い場合は、入眠が障害され、睡眠が寸断されて不安定で浅くなり、不眠が生じることがあります。
逆に、夜間の睡眠不足に本人が気付かず、それが原因で昼間に眠気や倦怠感を生じるようになります。
老人では、周期性四肢運動障害が不眠や過眠の隠れた原因になっていることが少なくなく、夜間の不眠や昼間の眠気の原因がはっきりしない時は、睡眠ポリグラフィー検査を受けられることをお勧めします。
なお、寝入りばなに起るからだのピクツキとは別のものです。

 周期性四肢運動障害とむずむず脚症候群は独立して起ることもありますが、合併していることが多く、近縁の病気ではないかと考えられています。
したがって治療も殆ど同じであり、クロナゼパムやドパミン作動薬などが効果的です。